セカンドライフでは「経済的資産」よりも、老後の豊かさと安心を与えてくれる「目に見えない資産」が大事

マネープラン

老後の三大不安は、「お金」「健康」「孤独」です。
なかでも「お金」は生活する上で欠かせないものであり、年金だけで生活費が足りるのか、貯金は十分なのか、不安に感じる方も多いと思います。

現在、日本社会は急速な高齢化を迎えており、老後の生活設計は個人にとっても社会全体にとっても重要な課題となっています。今注目されているのが「老後の金融資産保有額」です。これは単なる数字の問題ではなく、安心して暮らせるかどうか、また人生の最終段階をどのように過ごすかを考える上でのテーマとなっています。

金融資産保有額の実態

先日、日銀が家計が保有する2025年4〜6月期の金融資産が前年同期比1%増の2239兆円で過去最高になったと発表しました。その内訳をみると、60歳以上の世帯が金融資産全体の6割前後を保有すると推定されており、表面上は60歳以上のシニア層が多くの資産を保有しているようです。

しかし、J-FLEC(金融経済教育推進機構)の調査では、60代の単身世帯のうち金融資産ゼロは27.7%で、200万円未満は42%に達します。逆に3000万円以上の資産を持つ60代の世帯は約20%です。

また、金融資産保有額の平均値が2033万円であるのに対し、中央値は650万円と平均値よりも大きく下回っています。

これは一部の富裕層が平均値を引き上げているためで、多くの世帯は中央値に近いかまたはそれ以下であり、実は物価高と株高の影響で高齢者世代の資産額の二極化が進んでいるようです。

金融資産保有額の格差

このように、高齢世帯の金融資産保有額には大きな格差が存在します。数千万円の資産を持つ世帯がある一方で、ほとんど資産を持たない世帯も少なくありません。この格差は、現役時代の収入や貯蓄習慣、投資経験の有無などによって生じています。さらに、住宅ローンや教育費などの支出が長期にわたり続くことで、老後資産の形成が難しくなるケースも多いようです。

金融資産保有額の格差が生まれる要因は、所得格差とそれに伴う資産形成の不均等、資産運用への取り組みの違い、そして税・社会保障制度の影響など、複数の要因が複合的に作用しています。

高所得者は資産形成に回せる資金が多く、リスクの高い資産への投資でより大きな収益を得る機会があり、初期の資産の不均等は時間とともに拡大する傾向にあります。また、資産に対する考え方や、金融リテラシーの差も格差を広げる一因となっています。

資産形成の重要さ

老後資産を十分に確保するためには、現役時代からの計画的な資産形成が大事です。しかし、低金利環境や不安定な経済状況の中で、資産をどのように運用すべきかは難しい問題です。

預貯金だけではインフレに対応できず、株式や投資信託などのリスク資産を取り入れることが必要です。一方で、リスクを取りすぎると老後の生活基盤を揺るがす可能性もあります。

生活を支える仕組み

老後不安を解消するために資産形成することは大切なことです。しかし、老後の安心感は、必ずしも金融資産の多さだけで決まるものではありません。年金や社会保障制度、地域の支援制度など、生活を支える仕組みが整っているため、資産が少なくても生活を維持できる環境は存在しています。

多くの人にとって、年金は一生涯にわたって受け取れる安定収入源となり、毎月の生活費の基盤を確保できる点は大きな安心材料です。

また、老後は現役時代に比べて支出が減る傾向にあります。住宅ローンや子育て費用が不要になり、生活の優先順位を見直すことで、少ない資産でも十分に暮らしていける可能性が高くなります。

さらに、医療費の自己負担軽減、高齢者向けの公共サービス、地域の交流拠点など、社会には高齢者を支える仕組みが多く存在します。これらを積極的に活用することで、経済的な不安を和らげることができます。

お金で買えない大切な資産

経済的な資産だけでなく、健康や人間関係も大切な資産です。体を動かし、地域活動や趣味を通じて人と関わることは、心の豊かさや生活の充実感につながる。これらはお金では買えない大切なものです。このようにセカンドライフでは、金融資産の額にとらわれるのではなく、金融資産以外の価値を見出すことで、前向きな生活を築けるはずです。

まとめ

セカンドライフに必要なお金は、自分が理想とする生活やその価値観によって大きく異なります。

現在、老後のライフプランが描かれていれば、60歳を過ぎて金融資産が少なくても、決して悲観する必要はありません。年金や社会保障、生活の工夫、健康や人とのつながりといった「目に見えない資産」が、老後の安心と豊かさを支えてくれます。

セカンドライフをより豊かに生きるため大切なのは、金融資産の額ではなく、今ある環境をどう活かして生きていくかという視点ではないでしょうか。

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