定年後も働き続ける場合、知っておきたい在職老齢年金制度改正のポイント

マネープラン

「定年を迎えても元気なうちは働きたい」
「でも、一生懸命働いたら年金が減らされるような話を聞いて…」

人生100年時代と言われる長寿社会に突入するなか、「働けるうちは働きたい」と働く意欲が高いシニアは年々増加しています。

しかし、「一生懸命働いたら、年金が減らされてしまった…」なんて話を聞いて、不安に感じている人もいるのではないでしょうか。

働くシニアが増加

内閣府の「生活設計と年金に関する世論調査 報告書概略版(令和5年11月)」調査によれば、60〜69歳の半数以上が「65歳を超えても働きたい」と答え、その理由として「生活の糧を得るため」「いきがい、社会参加のため」「健康維持のため」を挙げています。

なかでも、「生活の糧を得るため」を挙げている人が最も多く、健康寿命が延びて老後が長くなる一方で、物価上昇は止まらず、年金と貯蓄だけでは生活が苦しいため、働かざるを得ない実情も浮かび上がっています。

在職老齢年金とは

こうした働く意欲のある高齢者の増加を背景に、2025年6月に成立した年金制度改正法には「在職老齢年金制度の見直し」が含まれました。

在職老齢年金とは、年金の受給対象となった60歳以上の方が、会社で働いて賃金をもらいながら受け取れる老齢厚生年金のことです。

年金を受け取りながら企業で働く場合、賃金(賞与を含む年収の12分の1)と老齢厚生年金の月額合計が「支給停止の基準額」を超えると、超過した部分の2分の1が支給停止となります。また、支給停止の額が年金額を上回れば年金は全額停止となります。

ちなみに2025年度の場合、「支給停止の基準額」は51万円です。

たとえば、本来の老齢厚生年金が月10万円の場合、月収(賞与含む)を加算した額が51万円以下であれば年金を全額受け取ることができます。しかし、月収が51万円(年金との合計額61万円)の場合は年金が半分の5万円に、月収61万円(年金との合計額71万円)の場合は年金が全額停止となります。

このように、働けば働くほど、本来もらえるはずの年金が減額されることが、シニアの就業意欲をそぐことにつながっていると指摘されてきました。

改正ポイント

今回の改正によって、支給停止の基準額は2025年度の51万円から62万円に引き上げられます(2026年4月より施行)。この改正により、働く意欲がある人にとっては、年金を受け取りながら働く機会が広がります。ちなみに、支給停止となる基準額は、企業で働く現役男性社員の平均月収(賞与含む)の変動に応じて、毎年度見直されますので注意が必要です。

厚生労働省によると、2022年度末時点で、65歳以上の働く年金受給者の308万人のうち、50万人が支給停止の対象となっていたようです。今回の見直しは、一部の高所得の高齢者だけが対象と思われがちですが、今後も働く意欲のある人にとって在職老齢年金の改正内容は知っていて損はありません。

在職老齢年金の主な注意点

よく「基準額を超えると基礎年金も減額される」と誤解される方がいますが、支給停止になるのは老齢厚生年金のみですので、老齢基礎年金をはじめ、経過的加算や加給年金は減額されません。(ただし、老齢厚生年金が全額支給停止される場合は、加給年金額も全額支給停止となります)。

さらに会社で働き続ける場合、70歳に到達すると厚生年金の加入資格を喪失し、保険料の負担はなくなります。しかし、厚生年金の加入条件と同程度で働き続ける場合は、これも支給停止の対象となりますので注意が必要です。

まとめ

このように、年齢や性別、ライフスタイルによって年金受給は異なります。
まずは、自分の年金受給額を把握し、わからないことは年金事務所で確認することが大切です。

セカンドライフにおける働き方の選択肢は多様化し、自分の価値観やライフプランにより選択の幅が広がっています。

定年後、年金を受給しながら働き続けることは、年金だけでは老後生活が不安を持つ人や、社会とのつながりや健康維持を目的に働き続けたいと思う人にとって大きなメリットになります。

今後のライフプランを検討する際は、在職老齢年金の年金受給額を計算に入れた上で、自分に合った働き方を選択すると、より豊かでメリハリのある生活が送りやすくなります。

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