週明け6日の東京株式市場で、日経平均株価が初の4万8000円台に乗せ、終値は前週末比2175円26銭高の4万7944円76銭で過去最高値を更新しました。
自民党総裁選で高市早苗総裁が誕生し、積極的な財政政策で景気を下支えするとの見方が強まったようです。
積極財政がもたらす影響
積極財政による財政健全化が進むと、国の経済政策は大きく転換します。その理由は、公共投資の拡大、減税、給付金の増額など、政府が積極的にお金を市場に流し込むことで景気を刺激しようとするからです。
それらの政策は短期的には経済を活性化させ、企業の業績や株価を押し上げる効果をもたらします。しかし、その恩恵を受ける層と受けにくい層の間には、明確な線が引かれる可能性があります。
物価上昇(インフレ)
- 政府支出が増えると、需要が刺激され、物価が上がりやすくなります。
- これは企業の売上や利益を押し上げる一方で、生活必需品の価格も上がるため、現金しか持たない人には負担になります。
資産価格の上昇
- 株式や不動産などの資産は、インフレ期待や景気拡大によって値上がりしやすくなります。
- そのため、金融資産を持つ人は「資産効果」で豊かになりやすいです。
実質賃金の変化
- インフレが進むと、名目賃金が上がっても物価上昇に追いつかない場合、実質的な購買力が下がることがあります。
- 特に非正規雇用や低所得層は影響を受けやすいです。
政府債務と金利
- 積極財政で国債発行が増えると、将来的に金利上昇や財政負担の懸念が出ることもあります。
- ただし、経済成長がそれを上回れば、結果的にプラスに働く可能性もあります。
恩恵を受ける人と受けにくい人
金融資産を持つ人々にとっては、積極財政は追い風となります。なぜなら、株式や投資信託、不動産などの資産価格は、政府支出の拡大とともに上昇しやすいからです。
円安が進めば、海外資産を保有している人は為替差益を得ることもできます。資産を持つ者にとって、インフレは資産価値を押し上げる「けん引役」にもなり得ることができます。
一方で、金融資産を持たない人は、円安とインフレの影響を直接受けます。円安が進むと輸入品の価格が上がり、食料品やエネルギーなど生活必需品の値段が上昇します。
インフレによって物価全体が上がる一方で、賃金の上昇がそれに追いつかなければ、実質的な購買力は低下します。特に年金生活者や非正規雇用者など、収入が固定的または伸びにくい層にとっては、生活が苦しくなります。
つまり、金融資産を持つ人はインフレで資産価値が上がりやすく、持たない人は生活コスト上昇で苦しくなるという構図が起こりやすくなります。
ただし、政府が同時に「所得再分配」や「賃上げ政策」を強化すれば、この格差を緩和することも可能です。
格差拡大
このように、積極財政を進めると、金融資産を持つ人と持たない人の格差が広がる傾向が強まります。政府支出の拡大で株価や不動産価格が上がり、資産を持つ人はその恩恵を受けやすくなります。
一方で、円安やインフレが進むと、金融資産を持たない人は生活費の上昇に直撃されます。特に年金生活者など固定収入の人にとっては、物価上昇が実質的な生活水準の低下を意味します。老後の安心を守るには、資産を持つかどうかがこれまで以上に重要になります。
まとめ
積極財政は経済成長を促す一方で、資産格差や地域格差を拡大させるリスクがあります。とくにセカンドライフでは、物価上昇や社会保障制度の変化が生活に与える影響が大きいため、資産管理と生活設計を慎重に行うことが一層重要になります。
また、安定した老後を守るためには、資産形成の重要性が一層高まります。少額でも投資を始め、インフレに強い資産を持つことが、将来の生活防衛につながります。そのためには、経済動向を理解し、リスク分散と情報収集を怠らないことが大切です。
インフレ時代に強い家計とは、「現金を減らし、資産を増やし、収入を多様化する」ことです。
現金を多く保有することは、実質的な資産の目減りにつながります。また、物価上昇に強い株式や不動産、金や国債を保有することも有効です。さらに、配当や家賃収入、副業など多様な収入源も効果的です。
これからは、物価上昇を恐れるのではなく、経済の変化を味方につける発想が求められます。