「老後の生活が不安です。いまのままで生活できるでしょうか?」
このような不安や悩みを抱える人は少なくありません。
セカンドライフを充実させるためには、「お金」の問題は大事です。以前にまして物価高が進むなか、老後の生活に関する不安や悩みは増すばかりです。
60歳で定年を迎えても、年金の受給開始年齢は原則65歳です。そのため、最近では年金受給までの間、再雇用などで働くことが普通になりました。
しかし、定年後に仕事を続けても、現役時代のような高い収入を稼ぐことは難しく、収入は大きく減少します。さらに完全リタイアし年金生活に入ると、収入はさらに減少します。
そのため、セカンドライフをより豊かで充実したものにするには、事前の収入減に備えた準備と心構えが大事です。
定年後は、幾度か収入が減少するタイミングがあるので注意が必要です。
定年後に働くとき
定年後に働き続ける場合、再雇用や転職、起業などさまざまな選択肢があります。しかし、どの選択をしても、収入が減少することは避けられません。
国税庁「民間給与実態統計調査2019年」によれば、定年後の平均年間給与所得は60~64歳で約411万円、65~69歳では約323万円、70歳以降は約282万円となり、定年前と比べ、大きく減少します。
収入減は避けられないことですが、あまりの少なさに働く意欲を失いそうになる人もいるようです。
完全リタイアしたとき
65歳で年金受給を開始し、完全リタイアすると、そこからは年金収入のみの生活となります。年金収入は再雇用などで働いていた間の給与収入よりさらに少なくなります。
厚生労働省の「令和4年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、会社員や公務員として働き、厚生年金に加入した人の65歳時点で受け取る平均月額は、約14.3万円です。女性の場合、専業主婦やパート勤務により厚生年金加入期間が短いので、平均月額は、約10万円です。
つまり、夫婦ともに無職となった場合、二人の世帯収入は、平均月額約25万円、年収換算では約300万円になります。
よって、定年後の生活は、年間300万円が基本になります。
配偶者がなくなったとき
さらに、夫婦世帯では、配偶者が亡くなると、夫婦世帯で受け取っていた年金が2人分から1人分になってしまうため、世帯収入が大幅に減少します。遺族年金が支給されるとしても2人分の年金支給額よりは少なく、収入がさらに減少する要因になります。
家計の支出
一方で、家計の支出も人それぞれのライフデザインに応じて変わります。
総務省「家計調査」によれば、50代の二人以上世帯の1ヶ月あたりの平均支出は35.7万円です。
一方、高齢者夫婦二人世帯(無職)の1ヶ月の平均支出は約23.6万円と大きく減少します。
その要因は、主に教育費と住宅ローンです。50代までは、教育費や住宅ローンが家計の支出に占める割合が大きく、65歳以降は、子どもの教育費や住宅ローンの家計負担がなくなる分、支出を大幅に抑えることができます。
多くの人が心配する医療費は、65歳から74歳では平均月1.7万円なので医療費にかかる支出は思うほど多くないです。定年後、子どもが独立し、住宅ローンが終わっていれば、過剰に老後生活を心配することはありません。
支出の見える化
定年後は、収入に合わせて家計を見直すことが大切です。収入が大幅減少するのに定年前と同じ支出を続けていけば、働いていても赤字に陥り、退職金やせっかく貯めた老後資金があっという間に目減りしていきます。
家計を見直すために大切なのは、セカンドライフでどんな生き方をしたいのか考え、理想とするライフプラン(人生設計)を資金計画も含めて作成することです。1年間の収入と支出を見つめ直し、現在の資産や負債を洗い出して、家計の全体像を把握することが大切です。
たとえば、生活費以外に、趣味や旅行の游興費、住居の修繕費や介護費用および子どもの結婚費用援助などの費用を使ったとき、老後資金で足りるかを確認することです。
不足するようであればフルタイムでなくても70歳まで働くなどの選択肢もあります。さらに年金を受け取りながら、お小遣い程度の収入を得る働き方も選択のひとつです。
また、働いているうちから、将来の収入減に備えて節約し、可能な限り収入の範囲内で暮らす習慣を身に付けることも大切です。
節約というと、こまめに電気を消したり、水の出しっぱなしに気をつけたり、スーパーで安いものを買うことを思い浮かべますが、案外、こうした節約方法は手間をかけたほど効果がなかったり、日々の継続することがつらく、なかなか続かないものです。
一方で、生命保険やスマホ代などの通信費、月謝や車の維持費などの固定費の見直しは、一度取り組めばその効果がずっと続くメリットがあります。
ポイントは支出の「見える化」です。
まとめ
このように、定年後は収入が大きく減少することを想定し、家計収支を把握することで、家計の見直しに着手することが大切です。
早い段階から、支出の見直しをしておかないと、老後資金を取り崩すペースが進み、老後生活への不安が増々大きくなります。
そうならないためにも、定年前の早いうちにライフプランを作成し、支出を収入に合ったサイズに見直す生活を経験しておけば、老後を安心して過ごせる豊かなセカンドライフを送れるはずです。