2月13日は語呂合わせでNISA(ニーサ)の日
日本経済新聞によると、新しい少額投資非課税制度(NISA)口座経由の購入額が1ヶ月間で1兆8000億円を超えたようです。そのうち、投資信託の購入比率が6割を超え、米国など世界の株式に投資する商品に人気が集中しているようです。
東京株式市場での日経平均株価も連日終値でバブル期を更新するなど、政府の掲げた「貯蓄から投資へ」への機運は高まっています。
しかし、これから新NISAを使って投資を始めようとする人にとっては、新NISAは理解してきたが、なにを買えばよいかと悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
低金利・物価高時代
今の日本は、低金利で物価高であり、老後の年金や預貯金は実質目減りする時代になっています。今後は、将来に備えて資産形成をして、お金を貯めることと増やすことに分け、上手に資産運用することで、大切なお金を預貯金で眠らせるのではなく、お金に働いてもらって増やすという考え方が重要です。
従来、金融商品から得られた利益には20.315%(所得税15.315%(復興特別所得税0.315%含む)、地方税5%)の税率で税金がかかっていましたが、新NISAであれば、無期限で非課税となりますので、効率的な資産運用ができます。
「成長投資枠」と「つみたて投資枠」
新NISAには、「成長投資株」と「つみたて投資枠」の2つの枠があります。
「成長投資枠」は年間で240万円、「つみたて投資枠」は年間120万円の投資が可能です。新NISAでの投資限度枠は1800万円ですので、毎年枠をフルに利用すると、5年間で限度枠に到達します。
「成長投資株」は投資信託と上場株式ともに購入することができ、「つみたて投資枠」は投資信託の購入のみです。投資信託は、銀行・証券会社ともに購入できますが、上場株式は証券会社でしか購入できませんので、口座開設時のは注意が必要です。
新NISAの活用プラン
新NISAの活用プランは、年代によって多少異なります。
20代から40代までの若い世代は、少ない資金を毎月コツコツ積み立てる、「つみたて投資枠」を活用した投資信託がおすすめです。長期・分散・つみたてで投資リスクを低く抑えることができます。また、長期投資による複利効果も期待できます。
50代以降、とくに60代からは運用期限が限られるので、当面使う予定のないお金が預貯金であるのであれば、なるべく早く預貯金から新NISAへ資金をシフトすることがおすすめです。
活用プランは、まとまった資金があるなら、投資信託の「つみたて投資枠」と「成長投資枠」の併用も可能です。投資初心者の方は、「成長投資枠」は、投資信託をまとめて投資するよりもつみたて投資を活用した方が、ハードルは低くなります。
例えば、「成長投資枠」で月20万円、「つみたて投資枠」で月10万円の積立を年利3%、5年間行った場合、金融庁の資産運用シミュレーションで計算すると、元本1800万円に対し、最終積み立て金額が1939万円となり、139万円の利益がでることになります。資産運用シミュレーションで簡単に計算できますので、試算してみてはいかがでしょうか。
投資信託のしくみ
投資信託は、多くの投資家からお金を集め、集めたお金を株式や債券などに投資し、運用・管理する金融商品です。その運用成果が、投資額に応じて投資家に分配されます。
つまり、投資信託のしくみは、証券会社や銀行等がお金を集め、集めたお金を信託銀行が保管・管理し、信託銀行が運用会社の指示を受けて株や債券の売買を行うものです。実質的な運用は運用会社が行っています。証券会社や銀行の担当者は、商品の販売が目的となります。
投資信託はリスク商品に投資するため、預貯金とは異なり元本の保証はされません。また、投資信託を取引する際には、購入する際に必要な購入時手数料、投資信託を運用・管理するために保有中も定期的に支払う運用管理手数料(信託報酬)、さらに監査報酬、売買委託手数料、信託財産留保額など、さまざまな費用の負担があります
こうしたことから、手数料の高い商品への投資、投資信託の一括購入などは、リスクが増しますので、なるべく避けることが賢明です。また、投資信託の分配金には、普通分配金と特別分配金(元本払戻金)があります。普通分配金は運用益から支払われるものですが、特別分配金は、積み立てた資産から払い出されるため、資産は減少します。
どのような費用を負担するかについては、目論見書で必ず確認することが大事です。
インデックスファンドとアクティブファンド
信託投資の運用スタイルには、インデックスファンドとアクティブファンドの2種類があります。
インデックスファンドは、日経平均株価やTOPIXなどの指標をベンチマークとして、その動きに連動した運用成果を目指すものです。アクティブファンドに比べてコストは低めです。アクティブファンドは、ベンチマークを上回る運用成果を目標にしています。そのため、銘柄の調査・分析を入念に行うな選択に時間やコストがかかるので、運用管理費用(信託報酬)がインデックス型ファンドよりも高くなります。
リスクやコストをなるべく抑えて、長期的に運用した方には、インデックスファンドがおすすめです。一方、まとまった資金で大きなリターンを狙いたい、将来性のある企業に投資したい方はアクティブファンド向きです。
また、投資を長期・つみたて・分散で運用すると、ドル・コスト平均法により、投資金額を一定にすることで、価格が低いときには購入口数が多く、価格が高いときには購入量口数が少なくなり、平均購入単価を抑えることが期待できます。
個別株式投資
今、日本では超低金利が長引いていますので、預貯金より高い配当利回りで、短期的な株価変動での利益が期待できる個別株式投資は魅力的です。ただし、株価の変動率が大きいので、元本を割ってしまうリスクは投資信託より高くなります。
個別株式投資で得られる収益には、株価が安いときに買い付け、高くなったときに売却して得られるキャピタルゲインと株式の保有中に企業の業績等に応じて、配当金が受け取れるインカムゲインがあります。最近の人気は配当金狙いの高配当株への投資です。
インカムゲインは、企業業績が拡大傾向となれば、配当金の増加が期待でき、反対に業績が悪化すれば、配当金の減少、場合によっては、無配となるリスクがあります。
個別株式投資は、高配当株で配当金を得たり、株価の上昇で利益を得たり、それぞれのライフプランに合った投資ができます。
金利と株価の関係
株式投資するにあたり、株価の変動メカニズムを知っておくことは重要です。
金利の上昇・低下は株価に大きな影響を与えます。金利の低下時には、企業の資金調達のコストが下がり、企業業績が改善されると、投資家は預貯金よりも投資の方が有利と考え株式投資が増えます。その結果、金利の低下は株価の上昇要因となります。
逆に、金利の上昇時には、企業にとっては資金調達のコストが上がり、企業業績が悪化すると、投資家は、無理して株式投資はしなくなります。つまり、金利の上昇は株価の下落要因になります。
また、株式市場への資金の流入、流出も株価に大きな影響を与えます。人々の株式投資への期待が高まり、市場に資金が流出すれば、取引の需要と供給の関係から株価が上昇します。逆に、株式投資への期待が低下、あるいは株式投資への不安が広がれば、市場への資金の流入が減少し、需給関係から株価は下落します。
主な株式指標
日経平均株価は、日本の株式指標を代表する指標で、東京証券取引所プライム市場に上場されている銘柄から代表的な225銘柄を選んで計算している指標です。
TOPIX(東証株価指数)は、東京証券取引所第一部に上場されていた全銘柄を対象として、1968年1月4日の時価総額を100とした時価総額指標です。
そのほか、グローバルな投資基準に求められる諸要件を満たした400銘柄で構成されたJPX日経インデックス400、S&Pダウ・ジョーンズ・インデックス社が発表している米国の主要な500銘柄で構成された時価総額指標であるS&P500種株価指数などがあります。
インデックスファンドは、このような指標をベースに商品がつくられています。
新NISAの良い活用を
老後のお金の不安を解消するためには、資産運用によって自分の持っているお金を預貯金と投資に配分して効率的に増やしていくことが大切です。新NISAは、非課税であり、資産運用するにはとても良い制度ですが、うまく活用するためには、自分のリスクの許容範囲内での運用やライフプランに基づいた活用など、基本を理解して投資することが大事です。