2024年1月から新NISA(少額投資非課税制度)がスタートしました。
年明けには、東京株式市場で日経平均株価がバブル期の1990年以来の高値を繰り返し更新するなど、株式市場は異常な熱気に包まれています。
老後に向けて資産運用を考えている方は、この株価上昇のチャンスに乗り遅れたくないと思っていることでしょう。
また一方では、始めたいが新NISAの仕組みと利用方法が、よくわからないのでは・・・。
新NISAとは?
この制度は、岸田政権が掲げる「資産所得倍増プラン」の柱となる制度です。
今、日本の家計が保有する金融資産の総額は、2000兆円を超えています。
日銀が3月に公表した2022年10~12月期の賃金循環統計のよると、22年12月末時点の家計金融資産は2023兆円。そのうち、「現金・預金」の割合は55.2%。次が「保険」で18.7%。以下、「株式」が9.9%、「投資信託」が4.3%と続きます。
岸田政権では、令和5年を「資産所得倍増元年」として、「貯蓄から投資へ」をスローガンに掲げ、我が国の家計金融資産の半分以上を占める「現金・預金」が投資によって、企業の成長投資の原資となり、企業価値が向上すれば、家計の金融資産所得はさらに拡大する「成長と資産所得の好循環」の実現を目指しています。
その取組のひとつが、今回の新NISA導入です。
新NISAのポイントは、年間投資枠の拡大、非課税保有期間の無制限化、非課税保有限度額の再利用が可能になったことが挙げられます。
年間投資枠は、つみたて投資枠で年間120万円、成長投資枠が年間240万円、合計の年間枠が上限360万円と従来より年間枠が200万円増額となりました。
また、非課税保有限度額は両枠あわせて1800万円で非課税保有期間は無期限となりました。非課税保有期間が無制限となり、資産運用がライフプランに応じて長期的目線での運用が可能になりました。
一方、非課税保有限度額(枠)の再利用も可能となりました。例えば、100万円相当の資産を売却した場合、翌年には100万円分の枠が復活します。つまり、住宅購入や子どもの進学など、まとまった資金が必要なときに資産を売却しても、翌年には投資枠が復活して再利用できます。
いつでも、自由に運用しているお金を引き出せることが、新NISAのメリットです。
新NISAを始めるには
NISAを始めるには、金融機関での口座開設が必要です。
NISAは、1人1口座しか開設できないので、A社とB社のように口座を分けて、複数作ることはできません。
すでにNISA口座を開設している方は、手続きなしで自動的に従来のNISA口座と同じ金融機関で新NISA口座が開設されます。
金融機関の選び方
金融機関の選び方は、取扱銘柄が多い、ポイント還元などの独自サービスが充実、株式取引のしやすさ、手数料が安いがポイントとなります。
新NISAの成長投資枠では、個別株式も購入できるので、投資信託しか買えない銀行よりも証券会社の方が、断然おすすめです。
ネット証券は株式取引がしやすく、手数料が安いのでおすすめです。
業界最大手のSBI証券は昨年8月31日「ゼロ革命」と銘打って、日本株の現物取引と信用取引の手数料を昨年9月30日の注文分から無料化しています。
一方、対面販売は、人件費などのコストがかかるため、手数料は高くなります。
販売する側も、投資信託では手数料の高い商品を売りたいため、顧客への説明を将来の株価動向など手数料以外の要素に惹きつけがちになるので、注意が必要です。
投資信託にかかる手数料には、購入時にかかる手数料(販売手数料)、保有時にかかる手数料(信託報酬と監査報酬)、売買時等にかかる手数料(売買委託手数料と信託財産留保額)があります。その他にも一部の投資信託では、解約時に販売会社に支払う「解約手数料」がかかる場合や、運用成績に応じた成功報酬を負担する場合もあります。
これらの費用については、必ず、投資信託説明書(目論見書)で確認しましょう。
投資はリスクの許容範囲内で
政府の「資産倍増プラン」では、2022年6月末の時点で1700万だったNISAの総口座数を5年間で3400万に倍増させることを目指しています。
ただ、従来のNISAについては、口座開設したにもかかわらず、まったく使用していない「未使用口座」が全体の27%あります。日本では、まだまだ「投資」に対して、ハードルが高いようです。
NISAは投資で得た利益にかかる約20%の税金が非課税になる、とても有利でお得な制度です。
この制度を有効に賢く活用することが、老後の資産形成に向けてのひとつの取り組みになります。
しかし、投資を始めるには、他人の意見に惑わされず、自分で勉強し理解することが大事です。
まず、新NISAを始めるには、自分が「成長投資枠」「つみたて投資枠」どの枠で、どのような金融商品に投資するのかをしっかり把握し、リスクの許容範囲を理解した上で始めましょう。