「老後資金は、どれくらいあれば安心だろうか」
「老後に向けて、何から準備すればいいのだろうか」
定年退職が近づくにつれ、老後の生活が不安になるが、年金や資産運用などお金のことは、よくわからない。
そんな、ジレンマを感じている人は少なくないと思います。
セカンドライフは、誰もが未知の世界ですので、不安になるのは当たり前です。人生100年時代なんて言われると、より一層不安が強まります。
実は私も、そうでした。
ライフプランの大切さ
人生100年時代、物価上昇、低金利などお金を取り巻く厳しい環境のなか、老後資金が枯渇することなく、自分らしく安心して人生を楽しむためには、お金に関する知識はとても大事です。
40代の頃の私は、経済的に自立し、より良い生活を送るために必要なお金に関する知識や金融商品を選択するときに必要なスキルを身に付けていなかったので、老後に対して大きな不安を抱えていました。
そんな私を変えたのが、50歳のときに受けた「金融教育」でした。
金融教育で習った資産形成や年金・社会保険などのお金に関する知識を基に、ライフプラン(人生設計)を作成したことで、老後の生活が想像できるようになり、老後不安が一気に軽減されました。
今、金融リテラシーを高めるための、金融教育が注目されています。
自分の生活を守るためにも、金融知識を学ぶことは、とても良いことです。
セカンドライフの見える化
セカンドライフを、計画的にライフプランに沿って暮らすと、お金の不安が軽減され、生活に安心感が生まれます。
そのため、セカンドライフに入る前に、定年後の主な収入源である年金受給額を知り、収入と支出を見える化することが大事です。
しかし、日本銀行が行った金融リテラシー調査によれば、50代の6割以上の人が、収入源である自分が受け取る年金額を知らないようです。
まずは、自分の年金受給額を、誕生月に送られてくる「ねんきん定期便」や「公的年金シュミレーター」で確認し把握することが大切です。
支出は、毎月使うお金と将来のためのお金(旅行・家のリフォーム・子どもの結婚・葬儀など)を把握することです。毎月使うお金は、できれば家計簿をつけて家計管理することが望ましいのですが、少なくとも固定費(保険料・通信費・月謝)などを洗い出して見直すことが大切です。
そして、自分が理想とする生活スタイルに対し、年金支給額と金融資産(預貯金+資産運用)が不足ならば、不足分を働いて補填するなどの対策を講じ、生活の目標を設定することです。
また、医療・介護費用は、健康状態に合わせ、無理なく備えていくことです。国の社会保障制度を理解し、健康管理の徹底や生活の質の向上で健康寿命を延ばすことが大切です。
メディア情報に振り回されない
最近、老後資金について、一部のメディアやSNSでは、不安を煽るような情報が溢れています。
代表的なものが、2019年に注目された「老後資金2000万円問題」です。「老後資金2000万円問題」とは、夫65歳、妻60歳の無職世帯では、毎月▲5万5000円の不足が生じるため、残りの人生30年で約2000万円の老後資金が必要というものでした。
しかし、実際は、個人の生活状況やライフスタイルによって大きく異なり、2020年は一転して、毎月1100円黒字になると試算結果が公表されました。
このように、試算する対象によって、モデルケースの数値は変動するので、自分の生活スタイルに合った数値の検証が大切です。
ちなみに、金融広報中央委員会の「家計の金融行動に関する世論調査 令和6年」によると、60代の金融資産保有額の中央値は1200万円で、2000万円以上保有している人は全体の約28%でした。
また、年金だけで不自由なく暮らせると回答した人が8.1%、ゆとりはないが日常生活には問題ないと回答した人が52.8%となっており、6割以上の人は年金で生活することは可能であると答えています。
内閣府が2024年8月に公表した経済白書では、老後のために蓄えた資金は85歳を過ぎても平均15%程度しか取り崩されていないとのことです。
つまり、多くの人は、「老後資金を減らしたくない」という心理的な抵抗から、預貯金を取り崩すことを躊躇してしまう傾向があり、老後資金の不安からひたすら蓄えたお金は、結局使わないようです。
私たちは、これらの情報に惑わされず、冷静に判断することが大事です。
まとめ
セカンドライフを豊かに楽しく暮らすためには、お金は大事です。
しかし、不安を煽るようなメディア情報に惑わされて、お金を蓄えているだけでは、人生は楽しくありません。
大切なのは、老後生活を見える化し、早いうちにライフプランを作成して、お金の不安を軽減させることです。お金に対する恐怖心から使うことを躊躇してしまうのは、今しかできないことの機会を逃がすことにつながり、非常にもったいないことです。
老後資金に対し過剰な不安を抱えず、賢くお金を使うことが、豊かなセカンドライフにつながります。