貝原益軒の『養生訓』から学ぶセカンドキャリアを心穏やかに生きる方法

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「養生に志あらん人は、心につねに主あるべし」

人生100年時代、現代社会では、定年や転職を経て新たな人生の段階を迎える「セカンドキャリア」が注目されています。平均寿命が延び長寿化が進む中で、第二の人生をどう生きるかは多くの人にとって重要なテーマです。

江戸時代の養生思想にある「養生に志あらん人は心につねに主あるべし」という言葉は、この問いに深い示唆を与えます。意味は「健康に生きようと志す人は、常に心に“主(あるじ)”を持つべきだ」というものであり、ここでいう“主”とは、自分の心を統べる中心、すなわち生き方の軸を指します。

セカンドキャリアにおける「心の主」とは

今、定年後も雇用延長による再雇用などで働き続ける人が増え、60歳以上では約8割、65歳以上でも約3割の人が働いています。
しかし、セカンドキャリアでは職場環境の変化に戸惑い、モチベーションが低下してしまう人も少なくないようです。

現役時代は、会社や肩書き、社会的役割が自分の存在を支えてくれます。しかし、セカンドキャリアではそれらの支えがなくなり、自分の内側にある価値観や信念に沿った行動が大切です。

このとき必要なのが「心の主」です。「心の主」とは、自分が何を大切にし、どんな生き方を望むのかという“軸”のことであり、自分の良心とか正直な気持ちに常に向き合うことが大事になります。

外的評価より内的納得を重視する

現役時代は会社での仕事の成果や周りからの評価が生きる指標になりがちですが、セカンドキャリアでは「自分が納得できる生き方」が重要になります。

他人の基準ではなく、自分の価値観に基づいて行動することが、心の安定と幸福感をもたらします。自分軸がしっかりしていれば、他人の評価に振り回されず、静かな満足を得ることができます。

心身のバランスを整える

養生の本来の意味は「心身を養うこと」です。セカンドキャリアでは、体力や気力の変化に向き合いながら、自分らしく無理のないペースで生きることが求められます。

そして、『養生訓』では、バランスのとれた食事と適度な運動、良質な睡眠、そしてストレスを避けて心を穏やかに保ち、楽しみを持って元気に過ごすことが大切であると説いています。

貝原益軒は、「心は楽しむべき」と常々言っており、その方法は、「七情をよきほどにすること」。七情とは、喜・怒・哀・楽・愛・悪・欲であり、特に怒りと欲が大敵であると戒めています。

セカンドキャリアでは、怒りを抑え、欲を持たずに、何ごともほどほどにすることが大事です。

学び続ける姿勢を持つ

セカンドキャリアでは、自分の興味や関心に沿った学習を通じて、心の豊かさや生きがいを見つけることができます。『養生訓』では、心身の健康を保ち、長く生きるための教えを通じて、生涯にわたる学習の重要性を示唆しています。

貝原益軒が説いたのは、自己の心身を養生する責任は自分自身にあり、常に自分をいたわり、心身を健やかに保つことでした。

この自己責任と継続的な養生は、生涯学習の精神と共通する部分があり、定年後も学び続けることは、心身の健康を保ち、充実した人生を送るための重要な要素となり得ると解釈できます。

学びは年齢に関係なく、心を若く保ち、社会とのつながりを広げる力になります。私の知人も、定年後シルバー大学に通い始め、学び続けることでよりより豊かで充実した人生を歩んでいるようです。

社会とのつながりを大切にする

『養生訓』では、身体だけでなく心の養生も重要だと説かれています。社会とのつながりを保つことは、精神的な刺激を受け、活力を維持する上で大切であり、これは『養生訓』の精神的養生に通じます。

他者との関わりを通じて新たな視点を得ることができ、地域活動やボランティア、趣味の仲間との交流など、社会とのつながりは心を活性化させます。自分の信念を中心に据えつつ、柔軟に人と関わることが、充実したセカンドキャリアを築く鍵となります。

まとめ

「心につねに主あるべし」という教えは、単なる健康法ではなく、人生を主体的に生きるための哲学です。

貝原益軒は、『養生訓』において、身体だけではなく、心の在り方も養生の重要な要素であると説いています。

つまり、心のなかに自分軸を持っていれば、自分の感情や行動をコントロールすることや物事の善し悪しを冷静に判断する力が生まれ、道理に従った行動ができるようになるというわけです。

セカンドキャリアでは、これまでの経験を土台に、自分の価値観を見つめ直し、これからどのような人生を送りたいのか、その軸をもって新たな人生を歩むことが求められています。

自分軸を持ち自分の気持ちと常に向き合うことが、社会と外部環境の変化に揺れる心を適切に整え、心穏やかで健康的な人生を送ることにつながります。

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