定年退職で会社生活から離れると、家庭や社会のなかで「自分の居場所がどこにもない」と感じる方は少なくないようです。
定年後、居場所がない
会社生活では、「職場」や「職位」「人間関係」などを「自分の居場所」にしているパターンが多いと思います。しかし、定年後に、どこかに「自分の居場所」がないかと探してみても、いざ探してみると「どこにもない」と感じてしまい、その結果、自分を見失ってしまうのだと思います。
たしかに、会社で仕事をしていれば、孤独ではなく、仲間との繋がりを感じることができます。また、自分の能力を発揮することで、会社や社会に貢献することもできます。そして、そのことが心理的な「居場所」となり、安心して自分らしくいることに繋がります。
しかし、会社との関係性を「居場所」にしてしまうと、その関係性が変わった時に大きな喪失感を感じてしまうことになります。つまり、自分ではどうすることもできない他者との関係性を「居場所」にしてしまうと、いつかは「居場所」を失ってしまう可能性があるのです。
家庭を「自分の居場所」にすることも注意が必要です。夫婦円満で互いのコミュニケーションは大事ですが、毎日家に居て、妻にあれこれ指示しているようでは、互いの関係性が壊れてしまう恐れがあります。特に仕事一筋で家庭を顧みなかった方は注意です。夫婦での距離感はほどほどで、あまり束縛せず、お互いの自由を尊重した方がよさそうです。
人生100年、定年後の人生は会社生活と同じ時間を生きることになります。
長い人生のなかで、常に「自分の居場所」を安定させるためには、他者に左右されにくく、自分のペースでコントロールできる場所をつくる必要があります。
大切なのは「居場所」は自分で作ること
「自分の居場所」は探して見つけるものではなく、作るものです。
それは、自分が「居場所」がほしいと思っても、誰かが「ここが居場所ですよ」と用意してくれるものではないからです。「居場所」を与えてもらおうと思っていると、いつまで経っても見つからない感覚に陥るかもしれません。
「自分の居場所」は自分のペースでコントロールできる場所が最適です。
たとえば、自分が没頭できる趣味活動や地域のコミュニティでの仲間との交流でもいいでしょう。また、SNSの発信や最近ではユーチューブを始める人も多いようです。自分のペースで運営できるものは、誰にも邪魔されず、自分の領域となります。
「居場所」があることはとても重要
「居場所」は私たちのセカンドライフにとって、とても重要な役割を果たします。単に物理的な場所ではなく、心理的な安心感や所属感、貢献感を得ることができる場所こそが、生活に彩りをくわえて、より豊かで輝やく人生を送るうえで大切です。