「日本の幸福度は22ヶ国のなかで最下位」
米ハーバード大学などの研究チームが発表した幸福度に関するアンケート調査によると、日本は調査対象である世界22ヶ国のなかで最下位の22位でした。
このアンケート調査は、従来のアンケート調査で調べた幸福感や人生の満足度に加え、心身の健康や交友関係も調べたようです。日本は特に、楽観主義や自由、達成感などの項目で点数が低く、親しい友人がいる人が少なかったとのことです。
国別の順位を見ると、幸福度スコアの1位はインドネシアで8.47点。2位メキシコ8.19点、3位フィリピン8.11点と続き、日本は22位の5.93点でした。
また、30~40代でスコアが下がり、女性よりも男性の方が点数が低い傾向だったようです。
価値観の変化
また、先日発表された博報堂100年生活者研究所の調査では、日本人の幸福度は、バブル景気の80年代をピークに現在まで低下傾向にあり、価値観については、2000年代までは主に「家族とのつながり」「仕事」「経済的な安定」の3つを重視していましたが、2020年代からは変化し、主に「多様性」「自分らしさ」「柔軟な働き方」に変化しているとのことです。
なぜ、幸福度が低い
「幸福感」は人それぞれで、幸せの定義は難しいものです。
一見お金もあり、何不自由ない生活をしているような人でも実は幸せを感じていなかったり、反対に慎ましい生活をしながらも幸せを感じている人もいます。
幸福度が低い理由は、価値観の変化により、個を尊重するようになり、家族や地域や会社などの人間関係の結びつきが少なくなったことが影響しているようです。
大阪商業大学が発表した高齢期における幸福感規定要因の男女差調査によると、女性は活動性・社交性が高まるにつれて、幸福度が高くなる傾向にあります。しかし、男性は活動性・社交性も低く、幸福度も低い結果でした。この調査結果を見ると、高齢期に幸福度が高く楽しんでいるのは圧倒的に女性であり、男性は仕事を辞めると生活環境の変化に対応できず、幸福度も低いようです。
幸せとは
昔、「幸せってなんだっけ、なんだっけ」と歌うCMソングがありました。
幸せの定義は難しいのですが、幸福をもたらすものは、家族や人間関係の関わりによる対話にあるのではないでしょうか。つまり、物的・経済的な要素だけではなく、それ以上に心理的な要因が大切です。人との比較ではなく、自分の尺度や感情のなかにあるものを大事にしたいものです。
幸福は、まずは自分を大切にすることから始まります。
夫婦円満で、バカを言えるような友達がいて、なにか生き甲斐があれば、お金はなくても十分幸せを感じることができます。人生の目的は、お金を得るとか、出世して名声を得ることではなく、家族や仲間と楽しく過ごし幸せになることだと心得たいものです。
幸せを感じることの大切さ
「健康で幸せを感じている人は長寿である」
チューリッヒ大学のブルーノ・S・フライ教授の研究結果によると、幸せを感じる人は、そうでない人と比べ、5~10年寿命が長いようです。
健康とは身体の良好な状態であり、幸福とは心が良好な状態を指します。つまり、身体が良好で心が満たされている人は良好でない人と比べて長生きするようです。心が良好な状態にあると自然と笑顔が増溢れます。近所の公園などで小さな子どもを連れた家族や高齢夫婦の方々が、ほのぼのとした雰囲気で笑いに包まれた姿を見ると、明るく嬉しい気持ちになります。また、笑顔は免疫力が増し、健康にも良い影響を及ぼしますので、いつも笑顔のある生活を心がけたいものです。
一方で最近、高齢者が孤立化するケースが増加しているようです。
国際老年精神医学会のアンケート調査によると、男のくせにとか、女なんだからといったような男女を区別する言葉をよく使う人は区別しない人の比べ、うつ病になる確率が約2倍高いそうです。
「あるべき論」に縛られると、より良い人間関係を築けずに社会から孤立し、心の健康まで悪影響を及ぼします。近年は価値観が多様化し個を尊重する時代ですので、注意が必要です。
良い人間関係を築くには、尊敬・信頼・協力・共感・平等・寛容の6つが大切です。社会から孤立しないためには、自由で柔軟性のある価値観を持ち、従来の固定観念に縛られないことが大事です。そして、よりよい人間関係を築き、家族とともに幸せを感じたいものです。