「働けるうちは、いくつまでも働きたい」
先日、総務省より2025年9月時点の65歳以上の就業者数が発表されました。
人生100年時代、平均寿命も延び、定年後の時間が長くなっています。
昔の「定年後はのんびり悠々自適な生活を送りたい」は既に過去のものになり、今は「働けるうちは働きたい」と生涯現役で働く意欲のあるシニアが増えているようです。
定年後も働く人が増えている
総務省が行った労働力調査によると、働く高齢者の数は930万人と前の年から16万人増えて過去最多を更新し、65歳以上の就業率は25.7%で前の年から0.5ポイント上がりました。年齢別では、65歳から69歳が53.6%、70歳から74歳が35.1%、75歳以上が12.0%となっています。
ちなみに、公益財団法人生命保険文化センターのデータによると、2024年の60歳から64歳の就業率は74.3%に達しています。
この背景には、少子高齢化による労働力人口の減少や、年金だけでは生活が難しいという経済的な理由があります。また、健康寿命の延伸により、高齢者自身が「まだ働ける」「社会と関わり続けたい」と考えるようになったことも大きいようです。
60代は仕事の満足度が高い
リクルートワークス研究所が行った全国就業実態パネル調査(2019年)によると、仕事に満足している人の割合は、男性では60代が最も高く、逆に最も低いのは40代です。女性も60代以上が最も高くなっています。
この理由は、現役時代と比べて定年後は会社内での競争やプレッシャーから解放され責任が軽くなることのようです。責任が軽くなることで時間的余裕も生まれます。
そして何よりも、「誰かのために役立っている」「自分のペースで働ける」など、本人の生きがいや健康維持につながっていることが大きく影響しているようです。
このような自己肯定感を抱くことによって、仕事への満足度も高まっていきます。自身の健康や考慮しながら働くことで満足度が得られ、経済的なメリットも生まれます。加えて、働くことによって生活にリズムが生まれ、健康維持にも役立ちます。
高齢者就業の課題
しかし一方で、定年後も働き続けることには課題もあります。
歳を重ねると体力が低下し、無理がきかなくなるなど体力や健康面での不安が生じます。通勤だけで疲れてしまい、長時間の労働が苦痛になってしまうこともあるかもしれません。
退職後に再雇用で働く場合、同じ仕事をしているにも関わらず、給料が下がってしまいます。仕事内容は同じなのに給料が下がり、責任や権限がなくなることによるモチベーション低下や職場内の人間関係による精神的ストレスには注意が必要です。
また、仕事を続けることで趣味や旅行など思い描いていたセカンドライフを送れない可能性があります。仕事中心の生活になることで、自分の時間が十分に取れずにやりたいことができないことも推測されます。
まとめ
人生100年時代を迎え、定年後も働く意欲のあるシニアが増えている状況は、少子高齢化による社会構造の変化を表しています。しかし、働き始めたあとで「こんなはずじゃなかった」と後悔する人も少なくありません。
そのため、充実したセカンドキャリアを送るには、働く目的(収入・やりがい・社会とのつながり・健康維持)と自分の培ってきた経験とスキルを明確にし、そのうえで「経験を活かす」「新たな挑戦」「生活のため」「趣味を生かす」など、自分の価値観に合った働き方を選択ことが重要です。