老後は公的医療保険だけで安心!シニア世代の医療を支える2つのしくみ

暮らし

シニア世代に入ってくると、多かれ少なかれ体調面での不安が増してきます。

最近、疲れやすくなった、肩・首コリがひどい、体がだるくて重い、寝ても疲れがとれないなど、身体の不調を感じている方もいるのではないでしょうか。

そのような身体の不調を感じたとき、万一の病気やけがの治療や通院などにかかるお金の負担を不安に思う方もいるでしょう。また、50代以降の男性の半数以上が生活習慣病やその予備軍とのデータもあり、これから増えるかも知れない医療費にどう備えたらいいか悩む方も多いと思います。

その不安を解消するためには、まずは日本の医療保険制度を知ることが大切になります。

データでみる医療費の状況

厚生労働省が発表した令和3年度(2021年)の国民医療費も概況によると、国民医療費の総額は45兆359億円で前年度の42兆9665億円に比べ、2兆694億円、4.8%の増加となっています。

また、人口一人当たりの国民医療費を見ると、65歳未満の男性は19万8700円、女性が19万8500円、65歳以上の男性が82万4700円、女性が69万9600円となっています。65歳を超えると医療費が大幅に増えることがわかります。特に、男性の方が女性よりも医療費が高くなっており、生活習慣病やストレスなどで体調を崩すようです。

こうしたデータを見ると、65歳以上の年間医療費の多さに老後の医療費について不安を感じる方がいるかもしれません。

しかし、国の公的医療保険には手厚い給付があり、自己負担は抑えられているため、極端に心配することはありません。

国の医療保険制度

国の医療保険制度は、国民全員を公的医療保険で保障するとして、社会保険方式を基本に公費を投入して行っています。

この制度により、療養給付の自己負担は、医療機関や薬局で窓口負担する場合は、70歳未満は原則3割、70歳~74歳は2割となっています。75歳からは、すべての人が後期高齢者医療制度に加入し、窓口負担は1割となります。ただし、現役並みの所得がある方は3割です。

高額療養医療制度

被保険者や被扶養者は、原則として医療費の3割を負担すればよいのですが、病気にかかったり、長期療養や入院などにより、自己負担額が高額になってしまうことがあります。このような場合の負担を軽くする制度として高額療養医療制度があります。

高額療養医療制度は、自己負担が1ヶ月に一定額を超えた場合に超えた分を申請すれば、窓口での支払いの後に、高額療養費として健康保険から支給されるものです。ただし、対象となるのは、健康保険における自己負担分であり、入院時の差額ベッド代などは含まれません。

【具体例】

 70歳未満で標準報酬月額28万円、医療費総額が100万円の被保険者の場合

 適用区分:年収約370万円~約770万円

     (健保:標準報酬月額28万~50万円)

 1ヶ月の上限額:80,100円+(医療費ー267,000円)x1%

【自己負担額の計算式】

80,100円+(100万円ー267、000円)x1%=87,430円

なお、70歳以上の人については、入院が同一医療機関で1ヶ月の窓口負担が自己負担限度額を超えた場合、その月のその後の窓口負担は不要となります。

適用区分別の1ヶ月の上限額は、厚生労働省HPの医療高額療養費を利用されるお客様へで確認することができます。

医療費以外の備え

このように、高額療養医療制度によって高額な療養費であっても9万円弱くらいの負担で抑えることができます。しかし、対象となるのは健康保険が適用される費用になります。入院時の差額ベッド代などの自己負担分は自分で支払わなければいけません。

また、窓口で支払う費用以外にも交通費や身の回り品など普段とは違った支出もあります。

このように医療費以外の費用も発生するので、緊急時のための備えが大切です。。

シニア世代の保険

シニア世代の方のなかには、民間の生命保険や医療保険、がん保険の加入について悩む方もいると思います。

通常、子どもが独立して、ひと段落している家庭には、高額な死亡保険は必要ありません。掛け捨ての生命保険で十分です。また、民間の医療保険やがん保険の加入についても、これから加入するとなると、保険料は割高になります。がんの場合に長期入院を心配される方がいますが、厚生労働省の2020年調査では、平均20日を切っており、入院期間は大幅に短くなっています。

老後の医療費は、公的健康保険からの給付で支えられています。もしもの病気やけがでまとまった出費があっても、貯蓄で賄えるのであれば、医療保険やがん保険は必ずしも必要ないかもしれません。

このように、老後に向けての医療費の不安をどのように解消するかは、日本の医療保険制度を理解したうえで、老後のライフプランや自分なりのスタンスに合わせて慎重に検討することが重要となります。

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