【確定申告注意!】知らないと損する2つの医療費控除

暮らし

2023年分の所得税などの確定申告が2月16日より開始されました。期限は2月16日~3月15日までの期間となります。

「物価高で低金利なのに賃金が上がらない」この暮らしにくい時代を反映してか、2022年(令和4年)分のデータによると、確定申告を行う人は約1331万人と10年前に比べ6%も増加しているようです。

かつては、税務署に書面を持参するなど、なにかと手間がかかりましたが、今はスマートフォンで「国税電子申告 納税システム(e-Tax)」を利用すれば、24時間いつでも簡単に申告することができます。

確定申告をすれば税金が還付される人

本来、確定申告が必要ない人でも、税金を納めすぎている場合は、申請(還付申告)により所得税が還付されます。

【主なケース】

  • 給与所得者(会社員等)の人:雑損控除や医療費控除、寄附金控除、住宅借入金等特別控除がある場合
  • 所得が公的年金のみの人:生命保険料控除や地震保険料控除、雑損控除、医療費控除、寄附金控除などを受けられる場合
  • 年内で退職後、就職しなかった人:給与所得について年末調整を受けていない場合

医療費控除

確定申告による所得税の還付のなかでも、シニア世代にとって関心が高いのが医療費控除です。

医療費控除とは、本人(納税者)と本人と生計を一にする配偶者やその他の親族が支払った一年分の医療費を合算して、一定額を超えたときに所得控除を受けることができることをいいます。

生計を一にする親族とは、生活を共有している家族が対象です。必ずしも同居している必要はなく、仕送りをしている場合や子ども・親などの医療費を負担している場合も、医療費控除の対象です。

【控除額の計算方法】 医療費控除額上限200万円

  • 総所得金額が200万円以上の人

 医療費控除額=1年間の医療費 ― 補てんされる金額 ― 10万円 

  • 総所得金額が200万円未満の人

 医療費控除額=1年間の医療費 ― 補てんされる金額 ― 総所得金額等X5% 

補てんされる金額とは、生命保険や損害保険などの医療保険や入院費給付金、傷害費用保険金などのほか、高額療養費、出産育児一時金や家族出産育児一時金もありますので注意が必要です。「出産手当金」は、医療費を補てんする目的ではないため差し引く必要はありません。

なお、医療費のなかには、医療費控除とならないものがあります。

【主な控除の対象となるもの】

  • 診療費、医療費
  • 通院や入院のための交通費、やむをえないタクシー代、介護タクシー
  • 入院時の部屋代や食事代
  • 治療のための松葉づえ、補聴器、眼鏡、義手、義足などの購入費用
  • 治療のためのマッサージ代、はり師、きゅう師による施術代
  • 医師の判断によるPCR検査

【主な控除の対象とならないもの】

  • 人間ドック、健康診断
  • 美容整形の費用
  • 入院時の自己都合による差額ベット代
  • 疲れを癒すためのマッサージ代
  • 自家用車のガソリン代、電車・バスで通院できる場合のタクシー代、駐車場代
  • 自己判断によるPCR検査

医療費控除を受けるためには、確定申告時にその年に支払った医療費控除の明細書を添付する必要がありますが、医療費通知がある場合は、医療費控除の明細書の記載を省略することができます。(5年間の保存義務あり)

セルフメディケーション税制(医療費控除特例)

セルフメディケーション税制とは、医療費控除の特例として、健康の維持増進および疾病の予防への取組として、一定の取組を行う個人が本人および生計を一にする配偶者と親族のためにスイッチOTC医薬品を購入した際、その費用について所得控除を受けられることをいいます。

【控除額の計算方法】 医療費控除額上限88,000円

 医療費控除額=支出した金額ー12,000円

スイッチOTC薬とは、もともと医師の判断でしか使用することができなかった医薬品が、ドラックストア等で販売することが許可された医薬品をいいます。

また、控除を受けるには、健康の維持増進に以下の一定の取組を行う必要があります。

  • インフルエンザの予防接種または定期予防接種
  • 市区町村のがん検診
  • 職場で受ける健康診断
  • 人間ドックなど各種検診

医療費控除とセルフメディケーション税制どっちが得?

一般的には、市販薬の購入金額が多い方は、セルフメディケーション税制、病院にかかることが多く医療費が年間10万円を超える場合は、医療費控除がいいとされています。医療費控除とセルフメディケーション税制は選択適用となり、どちらかを選ぶことになります。

【シミュレーション例】

夫(収入800万円)、妻、長女の3人家族で、年間かかる医療費が、ドラックストア等でのOTC医薬品購入額が5万円、医療機関での自己負担額が8万円の場合

  • 医療費控除

控除額=医療費(50,000円+80,000円)ー100,000円=30,000円

所得税の減税額=30,000円 X 23%(所得税率)=6,900円

住民税の減税額=30,000円 X 10%(住民税率) =3,000円

減税額の合計=6,900円+3,000円=9,900円

  • セルフメディケーション税制

 控除額=OTC医薬品購入額50,000円ー12,000円=38,000円

 所得税の減税額=38,000円 X 23%(所得税率)=8,740円

 住民税の減税額=38,000円 X 10%(住民税率) =3,800円

 減税額合計=8,740円 + 3,800円 = 12,540円 

このように、医療費の支払い状況によっては、セルフメディケーション税制を活用した方が有利な場合もあります。

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