近年、シニア起業が急激に増えているようです。
中小企業庁の中小企業白書によると、起業準備に踏み切った理由は、「起業について家族の理解・協力を得られた」の割合が最も高くなっています。60歳以上の年代は「事業に必要な知識や経験が蓄積された」、「時間的な余裕ができた」の割合がそれぞれ次いで高くなっています。また、60歳以上にシニアほど「基本的に創業時の雇用や売上高を大きく変化させることを意図せず、事業の継続を目指しているタイプ」が多いようです。
この背景には、人生100年時代が到来し、定年退職後に束縛されずに自由に仕事がしたい、お小遣い程度の収入を得たい、社会とのつながりを持ちたいなど、人生を自分らしく生き生きと過ごしたいシニア層の姿があります。
では、そのようなシニア起業を目指す方にとって、注意すべき点にはどのような点があるのでしょうか。
シニア起業のメリット
シニア起業のメリットは、過去の経験や知識を生かせること。シニア層は長年のキャリアにより、人脈や経験・知識を持っているので、フル活用すれば大きなメリットになります。また、会社組織に拘束されることがないので、自分のペースで裁量を持って判断をして仕事を進めることができます。定年がないので生涯現役として仕事を続けることができます。そして、裁量は自身が持っていますので、仕事に対してやりがいを持って、充実した生活を送ることができます。社会貢献や誰かのために役に立つ喜びは一層やりがいに繋がります。
シニア起業のデメリット
一方、シニア起業によるデメリットもあります。
50代、60代になると健康面、体力面での衰えを感じます。20代、30代の頃のようにがむしゃらに頑張ることはきつく感じます。頑張りすぎずに自分のペースを守ることが大事になります。また、過去の成功体験や大きな会社に勤めていたなど過去に捉われたプライドが邪魔する場合もあります。過去は会社に支えられていたことを自覚し、個人事業として起業したらプライドは捨てることが賢明です。また、固定観念に縛られて柔軟な考えや対応ができない場合は危険です。プライド同様、過去に捉われる多様化した価値観に柔軟に対応すべきです。最後に、大きな負債を抱える起業はやめましょう。高齢になってから借金を抱えてしまっては、やり直しがききません。最近、ひとり起業という言葉をよく聞きますが、できるだけ初期投資を抑え、お金のかからない起業を目指すべきです。
成功の秘訣
先程述べた通り、シニア層の強みは経験と知識です。成功のポイントは経験を生かした仕事で人の困り事を解決するビジネスではないかと思います。シニアの強みである長年の経験やノウハウを困っている人のために役立てる、そして人脈を活用しながら起業の機会をうかがうことが良いのではないでしょうか。シニア起業では、初期投資もビジネスも小さく始めることが重要だと思います。失敗したときのリスクを最小限に抑え、月に数万円を稼ぐ感覚で賢く起業することが良いと思います。
シニア起業の注意点
シニア起業における注意点は次の4つです。
まずは、金銭目的での起業はしないことです。儲けるではなく、社会の役に立つために仕事をする意識が大切です。次に、過去の成功体験や経験からくるプライドは捨てるべきです。いままでは、会社に守られていただけです。個人事業になったら頼るのは自分自身だけです。謙虚な気持ちをもって相手に寄り添う姿勢が大事です。そして、経営者としての意識を持つことです。視座を高く、視野を広くすることが大事になります。最後にムダな初期投資はしないことです。シニア層には残された時間とお金には限りがあります。決して無理をしない、リスク回避をする姿勢が大切です。
まとめ
人生100年時代に入り、働き方が多様化しています。残りのセカンドライフをどのように生きるかは、それぞれの選択次第です。これまで、「お金」や「働き方」を会社まかせにしてきていた人も、定年が迫ると自分で考えざるを得ません。一時の起業ブームではなく、自分の人生を自分らしく豊かに生きる選択肢として、ひとり起業を考えるのも悪くないのではないでしょうか。