「老後のお金が不安です」
「年金だけでは暮らしていけないのではないか」
こうした声をよく耳にします。
テレビやインターネットでも、“老後資金2000万円問題”のように、不安をあおる情報が多く流れています。
しかし、老後について本当に大切なのは、必要以上に不安になることではなく、自分の生活に合わせて現実的に考えることだと思います。
私は60歳で退職し、今はこれからの年金受給を見据えながら生活しています。FPの資格を取得してお金について学んだことで感じるのは、「老後のお金は、まず実態を正しく知ることが大切」ということです。
年金の実態
特に年金については、意外と正確に理解していない方が多いように感じます。現在の平均受給額を見ると、自営業やフリーランスの方が受給する国民年金は月およそ6万円程度です。一方、主に会社員や公務員として働いてきた方が受給する厚生年金は、男性で約15万円、女性で約10万円ほどと言われています。
この金額を見ると、「そんなに少ないのか」と不安になる方もいるでしょう。しかし、支出の実態も合わせて見ることが大切です。
総務省の調査によると、65歳以上の平均支出は、単身世帯で約16万円、夫婦世帯で約24万円程度とされています。もちろん生活スタイルによって差はありますが、贅沢をしすぎず、身の丈に合った暮らしをすれば、厚生年金を中心に生活している方も少なくありません。
つまり、老後資産について考える際には、「漠然とした不安」ではなく、「自分は毎月いくら必要なのか」を把握することが重要なのです。
3つのポイント
そこで、老後不安を少し軽くするために整理したいのが、次の3つです。
1つ目は、「収入と支出の見える化」です。
収入は年金に加えて、副業や小さな収入源があれば安心感につながります。支出については、固定費、食費、医療費、保険料などを整理し、収入の範囲内で暮らせているか確認します。もし支出が多い場合でも、見直せる部分は意外とあります。
特に見直したいのが保険です。子どもがすでに独立しているのであれば、高額な生命保険は必要ない場合も多いでしょう。
基本的には、火災保険や自動車保険、最低限の掛け捨ての死亡保険などがあれば十分なケースもあります。なんとなく入り続けている保険を整理するだけで、毎月の固定費をかなり抑えられることがあります。
さらに、収入と支出を把握した上で、日常の生活に使うお金、住宅のリフォーム、旅行、子どもの結婚費用などの将来使うお金、そして当分使わないお金の3つに分けると、それぞれに使うお金の目的や時期が明確になります。
2つ目は、「年金以外の小さな収入源を持つこと」です。
金額の大小よりも、「自分で収入を得られる」という感覚が精神的な安心につながります。現役時代のように週5日やフルタイムで働く必要はありません。趣味を活かした仕事や短時間の副業など、無理のない範囲で続けられるものが理想です。
また、「社会とのつながり」を持てるという意味でも、心の安定につながると思います。
3つ目は、「資産を上手に取り崩す」という考え方です。
多くの方は、「資産は減らしてはいけない」と考えがちですが、“使うために貯めてきたお金”でもあります。
必要以上にお金を抱え込み、不安ばかり感じながら生活するのは、もったいないことです。
たとえば、当分使わないお金を資産運用をしながら年4%程度を取り崩す考え方もあり、適切に管理すれば、極端に資産が減ることを恐れすぎる必要はありません。
まとめ
老後に本当に大切なのは、「漠然とした不安」に振り回されることではなく、自分に合ったライフプランを持つことです。
老後不安の多くは、実は実態がよくわからないことから生まれています。安心とは不安がゼロになることではありません。見通しが持てることです。
実態を知り、支出を整え、必要に応じて小さな収入や資産活用を取り入れることで、老後はもっと穏やかで安心できるものになります。
