人生100年、50代はいわば人生の折り返し地点です。
50代は、「定年退職」が間近に迫り、60代からの生活設計を考え始めたり、子どもの教育や住宅ローン返済など、プライベートと仕事の両面で悩みや不安が尽きません。
今は悩み多き50代ですが、50歳から始まる人生の後半戦は、会社のためとか、家族のためとかではなく、自分を大切にして、自分のために楽しく過ごしたいものです。
2021年の厚生労働省の調査では、男性の平均寿命はおよそ81歳、女性は88歳でした。人生後半のセカンドライフを充実して生きるためには、早めに自分のこれからのライフプランを計画し、50代から新たな自分をスタートさせることがポイントとなります。
50代は悩みや不安が多い年代
50代は、老後に向けて一体なにから手をつければいいのか、定年後の人生をどう過ごせばいいのかなど、漠然とした不安を感じるようになります。
2022年の内閣府調査(国民生活に関する世論調査)によると、日常生活の悩みや不安を感じていると回答した割合が一番高かったのが、50代の42%でした。
また、悩みや不安を感じている項目では、老後の生活設計が63%と一番多く、前年の58.5%から大幅に増加しています。次に多かったのが、今後の収入や資産の見直しについてが57.1%と続いており、老後に向けてのお金に関する悩みや不安を多く抱えているようです。
なぜ、悩みや不安が大きくなるのか?
では、50代になると悩みや不安がなぜ大きくなるのか。その要因として、新しいステージに向けて生活環境が大きく変化することが挙げられます。生活環境の変化は、精神的なストレスに影響します。
多くの会社員は、60歳で定年退職を迎えます。定年退職後は、再雇用や転職など働き方が大きく変わります。働き方の変化は、収入の減少や仕事に対するやりがいの喪失にもつながります。また、仕事以外にも健康面の問題、子どもの教育費や住宅ローンなどの家計への負担も悩みや不安を抱える原因となります。定年をきっかけに新たな人生に向けての分岐点を迎えます。
50代が抱える4つの悩みと不安
仕事面では、50代になると仕事での成長を感じられなくなったり、自信を喪失して、やる気がなくなったりすることがあります。
50代は、競馬に例えると、会社人生の最終コーナーを回って直線ゴールに向かって走っているところです。40代までは、同期と比べて出世が遅れていても、まだ巻き返せると思えますが、50代に入るとゴールが見えてきて、モチベーションが低下することがあります。これからは、現状を踏まえて、会社人生をどうまとめるかを考えることが大切です。多くの家計の不安のなかには、住宅ローン返済や子どもの学費などの大きな出費があります。仕事の悩みや不安が重なると、お金の悩みが一層深刻になります。
また、家庭では、子どもが大きくなるにつれて、子どもの話題が中心だった生活から、夫婦二人の生活に変わるため共通の話題に困り、会話が少なくなることも多いようです。その結果、夫婦間での価値観の違いや生活にズレが生じ、一緒に生活することが苦痛に感じてしまう場合があるようです。
一方で健康面は、一気に体力の低下を感じるようになります。糖尿病や高血圧などの生活習慣病も目立つようになります。
自分を見つめ直す良い機会
50代になると、これからの人生を自分自身で考え、道を切り開いていくことが大事です。そのためにも、自分の前半の人生を振り返り、見つめ直すことが大切になります。見つめ直すことで、後半の人生をプランニングすることができ、充実したセカンドライフを過ごせるようになります。過去を受け入れることから、新しい人生が始まります。
例えば、体力の低下や健康面での不安があれば、適度な運動をしたり、食事のバランスを改善する。仕事に悩みがあれば、仕事に対する価値観や働き方を見直す。仕事以外に生き甲斐がないのであれば、仕事以外に没頭する趣味をつくる。家計に不安があるのならば、ライフプランニングを見直して家計管理を改善する。夫婦間での悩みがあるのなら、夫婦で一緒に楽しめることを見つけ共通の話題をつくるなど、このほかにも多くのことを見直すきっかけになります。
40代までは、たくさんあるように見えた選択肢が、年を重ねるとともに減ってくるように感じることがあります。しかし、「まだまだこれから」とポジティブな気持ちを持ち続ければ、人生の後半戦は、きっと自分らしい豊かな人生が送れるはずです。