「自分は仕事を通じて、成し遂げたかったものは何だったのか」
「自分は仕事を通して、得たかったものは何だったのか」
「自分は仕事を通して、社会にどのように貢献したかったのか」
４０代から５０代になると、人生の折り返し地点を意識し、自身のキャリアや人生を振り返って、未来への不安や焦り、葛藤を抱くようになります。
また、体力や気力の衰え、同年代の人の病気や死を目にすることで、自身の老いを意識するようになり、生き方を見つめ直すきっかけにもなります。
このように、４０代から５０代のミドルシニア層が、仕事のことや家族との関係、これからの人生を考えて思い悩む現象を「ミッドライフクライシス」といい、多くの人が経験する人生の転換期として、今注目されています。
ミッドライフクライシスとは
ミッドライフクライシスは、自己評価の低下、将来への不安、過去に対する後悔などから、突発的な行動やうつ病、不安障害を引き起こすリスクが高まり、精神的な不調を招く危険な症状です。
アメリカの心理学者であるダニエル・レビンソンによると、実に８０％の人が４０代から５０代になると発症するそうです。
この年代の男性は、定年を目前にして将来に対し漠然とした悩みや不安を抱える時期です。また、２０代から一生懸命働いて出世や高い収入を目指してきたものが、会社内での立場やゴールもそろそろ見えてきて、人生をどう終えるかという視点を持ちやすくなる時期と重なります。
一方、女性は、子どもが就職し自立したことで、自分の役割が終わったと喪失感や虚しさを感じる時期と重なります。その症状を空の巣症候群といい、寂しさや空虚感でやる気がなくなり、自分の生きる意味さえも疑問に持つこともあるようです。
実は、妻が５年前に発症しました。
原因は、娘が大学を卒業して就職したことでした。
娘は、親元を離れて一人暮らしをしていたので、常に一緒にいたわけではありませんでした。しかし、妻は娘の就職をきっかけに、全身の力が抜けて、何もする気になれないような状態が続きました。
そんなとき、妻に元気を取り戻してくれたのは、一匹の子犬でした。
妻が以前から欲しがっていた「トイプードル」を飼ったことで、新たな目標を見つけたようです。今では、「トイプードルこたろう」と一緒に色々な場所に出かけ、写真を投稿したりして楽しんでいます。
ミッドライフクライシスは、中年期に経験する心理的な危機です。この時期になると、多くの人が、これまでの人生の選択や今後の方向性について深く考え始めます。
ミッドライフクライシスの原因
- 自己評価の変化
中年期に入ると、多くの人がこれまでの人生を振り返り、目標達成状況や自己評価について再考します。これが、達成感や後悔の念を引き起こすことがあります。 - 身体的変化
年齢を重ねることによる身体的な変化や健康問題は、自己認識や自信に影響を与えることがあり、ミッドライフクライシスの一因となります。 - キャリアの停滞
キャリアの停滞感や仕事に対する不満が増すこともあります。これにより、将来への不安や焦りが生じることがあります。 - 家族構成の変化
子供の独立や親の介護といった家族構成の変化が、人生の新たな役割や責任をもたらし、ストレスの要因となることがあります。
ミッドライフクライシスの対処法
- 自己探求と目標設定
自己理解を深め、未来に向けた新たな目標を設定することは、自己成長につながります。このプロセスは、人生に新たな意味を見出すきっかけになります。 - 健康的なライフスタイルの維持
規則正しい運動やバランスのとれた食事は、身体だけでなく心の健康を保つためにも重要です。これにより、ストレスを軽減し、ポジティブな感情を育むことができます。 - 新しい趣味や活動の開始
新しい趣味や活動に挑戦することは、自己発見やリフレッシュの機会となり、人生に新たな活力を与えます
仕事に対する価値観の変化
ミッドライフクライシスに陥らないためには、自己理解を深め、柔軟な姿勢で変化を受け入れ、新しい目標を設定することが大事です。
例えば、出世や高収入といった物質的な目標だけではなく、人の役にたつ、社会に貢献するなど精神的な目標を掲げることで、仕事のモチベーションを高めることが大切です。
まとめ
ミッドライフクライシスは、誰もが経験し得る自然な現象です。この危機を乗り越えるためには、自分自身を理解し、自分に合った対処法を見つけることが大切です。人生のこの段階を、成長と変化の機会と捉えることで、より充実した人生を送ることができるはずです。
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