TVerでの再生回数が第8話で450万回を突破し、TBSの金曜ドラマ枠で歴代最高を記録している『Tシャツが乾くまで』。第9話では、咲子と充の揺れ動く夫婦関係が描かれ、注目を集めています。
第9話を観て、「もし自分だったら」と重ね合わせながら、定年後の夫婦の関係について考えてみました。
定年を迎えると、夫婦の暮らしは少しずつ変わっていきます。
仕事をしている間は、お互いに忙しく、それぞれの時間を過ごすことができました。ところが定年後は、家で一緒に過ごす時間が増えます。
そこで初めて、「夫婦なのだから、いつも一緒に楽しく過ごさなければ」と頑張りすぎてしまうことがあります。
妻は「もう少し家事をしてほしい」と思うかもしれません。
夫は「妻のために何かしてあげよう」と頑張るかもしれません。
できるだけ一緒に出かけようとしたり、相手の機嫌を気にしたり、「ありがとう」と言うことを意識したりすることもあるでしょう。
どれも相手を大切にしたいという気持ちから生まれるものです。
けれど、夫婦生活は、頑張れば頑張るほど幸せになるとは限りません。
なぜなら、妻が求めているものと、夫が大切にしているものは、意外と違うからです。
妻は「話を聞いてほしい」「気持ちをわかってほしい」と思っているのに、夫は「何かしてあげればいい」と考えている。
夫は「一人の時間も大切にしたい」と思っているのに、妻は「一緒にいることが夫婦の幸せ」だと感じている。
同じ家で暮らしていても、感じていることまで同じとは限りません。
だからこそ、定年後の夫婦に大切なのは、「相手を変えること」よりも「相手との違いを知ること」なのではないでしょうか。
一緒にいる時間が長くなったからといって、何もかも一緒にする必要はありません。
別々の趣味を楽しんでもいい。
一人で出かけてもいい。
それぞれの友人と過ごしてもいい。
夫婦だからといって、いつも同じ時間を過ごす必要はないのです。
大切なのは、それぞれが自分の時間を楽しみながら、家に帰れば「おかえり」「ただいま」と言えること。
「今日は何をしていたの?」と自然に話せること。
そして、困ったときには「あなたの味方だよ」と思えること。
そんな安心感があれば、夫婦はもっと自然体で暮らせるのではないでしょうか。
「あなたはあなたの人生を楽しんでいい。でも、何かあったときは私はあなたの味方だよ」
そんな関係なら、無理に相手を喜ばせようと頑張らなくてもいい。
いつも一緒に笑っていなくてもいい。
それぞれ静かに過ごす日があってもいい。
夫婦であることと、何もかも同じ気持ちになることは別なのです。
定年後は、夫婦関係をもう一度つくり直す時期なのかもしれません。
恋人のような関係に戻る必要もありません。
何でも一緒にする必要もありません。
長い年月を共に過ごしてきたからこそ、これからは「夫婦だからこうしなければ」と頑張るのではなく、お互いが無理をしない関係を大切にしたいものです。
相手を変えようとしない。
自分も無理をしすぎない。
お互いの違いを認める。
そして、「ありがとう」をきちんと言葉にする。
そんな小さな積み重ねが、夫婦の安心感につながっていくのだと思います。
幸せな夫婦とは、頑張って仲良くする夫婦ではありません。
頑張らなくても、安心して一緒にいられる夫婦。
一緒にいることを強制しなくても、離れている時間を不安に思わない夫婦。
何かを一緒に成し遂げなくても、同じ家に帰ればホッとできる夫婦。
長い人生を共に歩んできたからこそ、これからは「何かを一緒にすること」だけではなく、「何もない時間を一緒に穏やかに過ごせること」を幸せだと思える夫婦でありたいものです。
